介護サービスの話をしているのに、なかなか先へ進まないことがあります。
本人は「まだ大丈夫」と言う。
家族は「そろそろ何か考えた方がいいのでは」と思っている。
一度は話題にしても、結論が出ないまま終わる。
何度か同じことが続くと、そのうち介護サービスの話そのものを出しにくくなることもあります。
こうしたとき、表面では「介護サービスの話が進まない」ように見えていても、実際には別のことが重なって、話が止まっている場合があります。
今回は、家族の中のどこで話が止まっているのか、何が一緒になって分かりにくくなっているのかを分けて見ていきます。
親の状態について、家族の見え方が違っている
まず考えられるのが、親の今の状態について、家族の見え方がそろっていない場合です。
近くに住んでいる家族は、
以前より歩くのが遅くなった。
通院が増えた。
買い物や家事を手伝うことが増えた。
といった変化を日常の中で見ています。
一方、離れて暮らす家族は、電話で元気に話している様子や、たまに会ったときの姿を見て、「まだ大丈夫そう」と感じているかもしれません。
どちらかが間違っているとは限りません。
見ている場面や持っている情報が違えば、親の状態について受け取る印象も変わります。
この段階で止まっている場合、最初に必要なのは「介護サービスを使うかどうか」を決めることではなく、家族それぞれに何が見えているのかを共有することかもしれません。
「サービスが必要だと思う理由」が違っていることもある
同じように「そろそろ介護サービスを考えた方がいい」と思っていても、その理由が家族の中で同じとは限りません。
親の転倒が気になっている人もいれば、一人で過ごす時間を心配している人もいます。
実際に介護を担っている人は、自分の仕事や生活との両立が難しくなってきたため、今の支え方を変えたいと思っているかもしれません。
一方、本人は今までの生活を変えたくないと思っていることもあります。
この状態で「デイサービスを使うか」という話だけをすると、それぞれが違う問題について話しているため、話がかみ合いにくくなります。
何を心配しているのか。
なぜ今、介護サービスの話が出ているのか。
そこを分けると、話が止まっている理由が見えやすくなることがあります。
誰が何を担っているのかが、家族の中で見えていない
介護サービスの話が進まない背景には、家族が現在担っていることが十分に共有されていない場合もあります。
通院への付き添い。
買い物。
薬の確認。
親からの電話への対応。
病院やケアマネジャーとの連絡。
急な出来事への対応。
一つひとつを見ると小さなことでも、一人に集まれば、その人の時間や生活への影響は大きくなります。
しかし、その役割を担っていない家族からは、日常的にどのくらいの対応が発生しているのか見えにくいことがあります。
そのため、「まだサービスを使わなくても大丈夫ではないか」という家族と、「このままでは続けられない」と感じている家族との間に差が生まれることがあります。
介護サービスについて話す前に、今、誰が何を担っているのかを見えるようにすることが必要な場合があります。
家族の中で介護の負担が偏る背景については、「親の介護で家族に負担が偏るのはなぜか|兄弟姉妹で介護分担がうまくいかない理由」でも詳しく整理しています。
「サービスの話」と「この先の生活の話」が混ざっている
話が進まないとき、何について話しているのかが途中で混ざっていることもあります。
デイサービスを利用するか。
訪問介護を入れるか。
という話と、
これから誰が親の通院に対応するのか。
仕事との両立をどうするのか。
親の状態が変わったとき、家族としてどう対応していくのか。
という話は、同じではありません。
ところが実際には、これらが一度に話題に上がることがあります。
すると、介護サービスについて一つ結論が出ないだけで、家族の役割やこれからの生活についての話まで一緒に止まってしまうことがあります。
今、何を確認したいのか。
何はまだ決めなくてもよいのか。
そこを分けることも、話を進めるための一つの方法です。
何度か進まないと、話題そのものを出さなくなる
介護サービスについて何度か話しても進まない。
本人の考えが変わらない。
家族の意見もそろわない。
また同じ話になる。
こうしたことが続くと、誰も話題を出さなくなることがあります。
「今はこのままで」
「もう少し様子を見よう」
そのまま時間が過ぎていく。
けれど、話が止まっても、生活と介護が止まるわけではありません。
誰かが通院に付き添い、買い物をし、連絡調整をしていれば、表面上は大きな問題が起きていないように見えることもあります。
しかし、それは「困っていない」ということとは限りません。
話が止まったまま、誰かが生活を回し続けている。
そういう状態もあります。
「家族で話し合う」だけでは進まないこともある
介護について家族で話し合うことは大切です。
ただし、何が止まっているのか分からないまま、「もう一度家族で話しましょう」としても、同じやり取りを繰り返すことがあります。
親の状態を共有する必要があるのか。
本人が何を嫌がっているのか確認する必要があるのか。
家族の役割を整理する必要があるのか。
介護サービスについて専門職に確認したいことがあるのか。
それぞれによって、次に話す相手も、確認する内容も変わります。
サービスや制度について分からないことは、ケアマネジャーや地域包括支援センターなどに確認できます。
家族介護に直面したときに利用できる支援や相談窓口については、厚生労働省の案内でも確認できます。
その前に、家族の中で何が起きているのかを少し整理しておくと、何を伝え、何を確認したいのかも見えやすくなります。
本人が介護サービスを嫌がったり断ったりすることが中心になっている場合は、「親が介護サービスを嫌がる・断るとき、家族はどうしたらいい?相談先と確認したいこと」も参考になります。
介護サービスの話だけでなく、家族全体の状況を見る
介護サービスの話が進まないとき、目の前のサービスのことだけを見ていると、なぜ話が進まないのか分からないことがあります。
本人はどう考えているのか。
家族は何を心配しているのか。
今、誰が何を担っているのか。
仕事や自分の生活には何が起きているのか。
家族だけでは分からないことは何か。
介護を受けている人のことだけでなく、介護している家族自身の生活や仕事も含めて見ていくと、サービスの話だけでは見えなかったことが見えてくる場合があります。
こうしたことがいくつも重なると、何から考えればよいのか分かりにくくなります。
絡まっている話を、話しながら一つずつほどいていく
サービスを利用するか、しないか。
その二つだけを見るのではなく、
今、どこで話が止まっているのか。
何が一緒になって分かりにくくなっているのか。
そこを見ていきます。
本人のこと。
家族それぞれの考え。
サービスや制度のこと。
誰が何を担っているのか。
仕事のこと。
これからの生活のこと。
一つひとつは別のことでも、同時に起きると絡まり合い、何について考えているのか分かりにくくなります。
そんなときは、一度に答えを出そうとせず、話をしながら一つずつ分けていきます。
そうすると、それまで一つの大きな問題に見えていたことが、
家族に伝えたいこと。
専門職に確認したいこと。
今すぐ決めなくてもよいこと。
自分でもう少し考えたいこと。
のように分かれて見えてくることがあります。
必要に応じて、一般的な情報の確認や考えの整理にはAIや検索を使う。
制度や介護サービスについては、ケアマネジャーや地域包括支援センターに確認する。
体調や医療について専門的な判断が必要なら、医療職に相談する。
使えるものは使いながら、何を自分で考え、何を誰に確認するのかを整理していく。
それも、介護を続ける中で必要なことの一つです。
ここで話すことに、どんな意味があるのか
介護のことを考えていると、本人への心配、家族との考えの違い、サービスや制度、仕事、自分自身の生活など、いくつものことが同時に頭に浮かびます。
それぞれがつながっているため、自分の中だけで考え続けていると、
「何から考えればいいのだろう」
「誰に何を相談すればいいのだろう」
「そもそも、自分は何に困っているのだろう」
と分かりにくくなることがあります。
ここでは、「介護サービスの話が進まない」という一つの出来事を入口に、その背景で何が重なっているのかを、介護している人の立場から一緒に見ていきます。
地域包括支援センターやケアマネジャーなど、介護について相談できる先はあります。
ただ、制度やサービスについて確認することと、介護している人自身が、自分の生活も含めて今の状況を整理することは同じではありません。
当相談は、介護している人自身の立場から、介護を受けている人のこと、家族、サービスや制度、仕事、自分の生活に何が起きているのかを一緒に整理する家族介護者支援です。
ここで話したあとに、
家族に何を伝えたいのか。
専門職に何を確認したいのか。
今は何を決めなくてもよいのか。
自分はこれから何を考えたいのか。
が少しずつ分かれて見えてくることがあります。
話をしながら絡まっていることをほどき、介護している人自身が次に何を考え、何を選ぶのかを見つけていく。
そのために、一度立ち止まって話す時間が必要です。
何から話せばよいか分からない段階でも、ご相談いただけます。
詳しくは、