親にデイサービスや訪問介護を勧めても、「まだ必要ない」「行きたくない」と断られることがあります。
介護サービスを利用した方がよいと思っていても、本人が嫌がると、それ以上話を進めにくくなることがあります。
本人の気持ちは尊重したい。
一方で、通院への付き添いや日常生活の手助けなど、家族が担っていることは続いています。
このままで大丈夫なのか。
何度も勧めてよいのか。
それとも、しばらく様子を見た方がよいのか。
こうしたとき、介護サービスを利用するかどうかだけで考えると、答えが見つからないこともあります。
本人が嫌がる理由を確認するとともに、これまでの経緯や現在の生活、家族の状況にも目を向けてみることが大切です。
親が介護サービスを嫌がる理由は一つではない
介護サービスを嫌がる背景には、さまざまな理由が考えられます。
まだ自分で生活できると思っている。
知らない人が自宅に入ることに抵抗がある。
デイサービスで何をするのか分からない。
集団で過ごすことが苦手である。
これまでの生活習慣を変えたくない。
サービスを利用したときに嫌な経験があった。
また、体調や身体の痛み、疲れなどが関係している場合もあります。
例えば、「デイサービスに行きたくない」と言っていても、施設そのものに抵抗があるのか、集団で過ごすことが負担なのか、当日の体調がよくないのかによって、考えられる対応は異なります。
利用を始める前から断っている場合と、利用を始めてから嫌がるようになった場合でも、確認したいことは違います。
嫌がっているという行動だけを見るのではなく、本人が何に抵抗を感じているのかを見ていくことが必要です。
介護サービスを利用するか、しないかだけで考えない
家族が迷う理由の一つは、介護サービスを利用した場合と、利用しなかった場合の生活を、同時に経験して比べることができないことです。
利用すれば本人の生活はどう変わるのか。
家族の負担は減るのか。
利用しなければ、今の生活を続けられるのか。
家族は今の対応を続けられるのか。
まだ経験していないことについて、最初から確かな答えを出すのは難しいものです。
そのため、すぐに「利用する」「利用しない」の二つから結論を出すのではなく、今分かっていることと、まだ確かめられていないことを分けてみる方法もあります。
本人の希望や状態、サービスの内容によっては、見学や体験、利用方法の変更などを検討できる場合もあります。
ただし、安全や健康に関わる問題がある場合は、判断を先延ばしにせず、医療・介護の専門職と対応を確認することが必要です。
サービスを利用しなくても、本人と家族の生活は続いている
介護サービスの話が進まなくても、日々の生活が止まるわけではありません。
介護を受けている人の生活は続き、家族も仕事や家のことをしながら、必要な対応を続けています。
通院への付き添い。
買い物や食事の準備。
薬や体調の確認。
離れて暮らしていれば、電話での確認や予定の調整。
一つひとつは小さく見えても、重なれば家族の時間や生活にも影響します。
また、一人の家族が中心となって対応し、ほかの家族には現在の状況が十分に伝わっていないこともあります。
本人が介護サービスを利用しないことと、その分を家族がすべて担うことは、同じではありません。
サービスを利用しない間、誰が何を担っているのか。
その人の仕事や家族、自分自身の生活には何が起きているのか。
そこにも目を向ける必要があります。
一つの問題から、介護全体を見てみる
親が介護サービスを嫌がっているとき、目の前にあるのはサービスの問題に見えるかもしれません。
けれど、少し視野を広げると、その背景にはいくつものことがつながっています。
例えば、親の歩く様子が以前と変わり、家族が心配するようになった。
本人は「まだ大丈夫」と思っている。
家族は転倒などを心配しているものの、日中は仕事があり、ずっと付き添うことはできない。
兄弟姉妹の間でも、親の状態について見え方が違っている。
このような場合、介護サービスを利用する方法だけを考えても、抱えていることのすべてが解決するとは限りません。
介護を受けている人の状態や希望。
家族との関係。
利用できるサービスや制度。
介護者の仕事。
介護者自身の生活。
それぞれは別々にあるのではなく、互いにつながっています。
だからこそ、一つの問題だけを見るのではなく、これまでどのような経緯があり、今何が起きているのか、これからどのような生活を続けたいのかまで、少し見方を広げてみることがあります。
今、何が問題になっているのか。
何が分かっていて、何がまだ分からないのか。
誰と何を確認する必要があるのか。
一度立ち止まって見方を変えることで、次に考えることが見えてくる場合があります。
親が介護サービスを嫌がるときの相談先
すでに担当のケアマネジャーがいる場合は、本人がサービスを嫌がっていることを伝え、理由や利用方法について相談できます。
その際は、「行きたがらない」ということだけでなく、いつから、どのような場面で嫌がるのか、本人が何と言っているのかなども伝えると、状況を確認しやすくなります。
利用を始めてから嫌がるようになった場合には、サービス事業所から利用中の様子を聞くことも考えられます。
まだ介護保険サービスを利用していない場合や、どこへ相談したらよいか分からない場合は、地域包括支援センターが相談先の一つです。
地域包括支援センターは、高齢者本人や家族からの相談に対応する地域の総合相談窓口です。
また、急に拒否が強くなったり、体調や行動に大きな変化が見られたりする場合は、かかりつけ医などへの相談も必要です。
相談するときには、本人の状態や希望だけでなく、家族が現在担っていることや、家族の生活に起きている変化も伝えておきたいところです。
介護サービスを利用したあとも家族に負担が残る理由については、関連記事「介護サービスを使っても家族の負担が減らない理由」でも整理しています。
介護サービスのことだけで考えにくくなったときに
親が介護サービスを嫌がっていると、「どうすれば利用してもらえるのか」「利用しないままでよいのか」ということに目が向きやすくなります。
もちろん、それを考えることも大切です。
けれど、介護はサービスのことだけで進んでいるわけではありません。
介護を受けている人の生活も続いています。
介護者自身の生活も続いています。
そして、介護そのものも続いています。
本人のこと、家族との関係、サービスや制度、仕事、自分の生活は、互いにつながっています。
一つのことだけを見ていると答えが出ないときは、いったん立ち止まり、これまでの経緯や今起きていること、これからの生活まで少し広げて見てみることがあります。
必要に応じて、本人や家族、ケアマネジャーなど、関わる人と何を確認し、何を一緒に考えるのかを整理していくことも大切です。
無料相談では、介護サービスを利用するかどうかの答えを決めるのではなく、介護している人の立場から今起きていることを一緒に整理し、見方を広げながら、次に何を考え、誰と何を確認していくのかを一緒に考えます。
何から話せばよいか分からない段階でもご相談いただけます。
詳しくは、無料相談のページでご案内しています。